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退院後の日常生活、社会復帰はいつ頃から

1)家庭では

入院中に覚えた筋力トレーニングは忘れずに続けて欲しいと思います。最も重要な筋肉は膝前面の筋肉(大腿四頭筋)と股関節を外に広げる筋肉(股関節外転筋)です。
一日に一回15分でも結構です。

大腿四頭筋の筋力増強訓練

膝関節の安定にとって最も重要な筋肉です。

 

股関節外転筋の増強訓練

股関節を安定し、歩く格好を改善するのに最も重要な筋肉です。

関節の周囲の筋肉・腱・筋膜・脂肪などの軟らかい組織が修復し、関節の周囲が強く固まるには手術後約3ヵ月かかります。従って、退院後、手術して約3ヵ月以内に筋肉の弱い人が転倒したり、急激に低いイスやクッション性のある深いソファーなどに坐ったりすると、人工関節が脱臼することがありますので、注意が必要です。股関節の場合、関節周囲の筋肉が強くなりますと、和式の生活がほとんど可能になります。正座は入院中にできる人もいますが、あわてないほうがよいでしょう。入浴しながら関節を柔らかくしていくようにしましょう。しかし、膝関節の場合は人工膝の屈曲は120度ぐらいを目途にしていますので、日常の生活は洋式の生活(イス、洋式トイレ、ベッドの生活)にしなければなりません。関節の動きが悪い間は下着や靴下の着脱の際には自助具(リハビリの療法士が指導します)を利用しましょう。履物はかかとが低く履きやすく脱ぎやすいものを選びましょう。退院直後でも、注意しながら少しずつ炊事などの家事をすることはできます。台所にも高めの腰掛椅子を準備しておくと便利です。

2)杖はいつまで

ほとんど人が一本杖で退院となります。杖なしでもすぐに歩行は可能となりますが歩く格好が悪ければあせって杖をはずす事は良くありません。歩く格好が安定したら杖をはずしても良いでしょう。杖をはずした後も、遠出の場合は疲れたりすることがありますので、折りたたみの杖を用意しておくことが良いようです。転ばぬ先の杖という言葉もあります。たくさん歩けば早く治るというものではありません。

3)階段の昇降は

退院後しばらくは階段の昇降には手すりを持つようにしたほうがよいでしょう。体重が上下に移動する事は持久力や筋力をつけるには良い運動となります。当初は階段を昇る時は手術していないほうの脚から昇り、降りる時は手術した方の脚から一段ずつ降ります。交互に脚を出して階段の段差を昇降が出来るようになっても、駆け上がるという事は禁物です。階段は昇る時よりも下るときのほうが膝には負担がかかります。転倒しやすいのも下る時のようです。坂道も同じです。まずはゆっくりと着実に一歩一歩、歩く事が重要です。

4)体重のコントロールは

人工関節への負担を軽減する為に体重をコントロールすることは非常に重要です。歩行時体重の約3倍の力が関節にかかります。1kgの減量は、歩行中に股関節にかかるストレスを3kg減らす事になるといわれています。適切な食事(カロリー制限)と適度の運動(まずは一日5000〜6000歩ぐらいが目安です)が体重コントロールの基本です。

5)重量物の扱いは

日常生活で、どの位の重さの物まで持てるのかを全員の人が心配されています。これは、体格、筋力等によって大変異なりますが、普通の日常生活に支障はない程度の物はもてます。筋力の弱い人でなければ、時々20〜30kgの物を持ち上げることは問題ありません。また、時々10kgの物を持ち運びするのも問題ありません。買物などで毎日5〜6kgの物を持つのも問題ありません。しかし沢山の買い物に出かける場合は、買い物車(バギー車)を準備するほうが良いと思います。

6)草むしりなど園芸もしたい人は

庭の草むしりをしたいという人が多くおられます。しかし、しゃがみこんで草むしりをするのはなかなか工夫が要ります。出来たら低い椅子に腰掛けて、椅子をずって移動するのが安全だと思われます。高いところの園芸には転倒が最も心配です。

7)職業への復帰は

社会(職業)復帰の時期については、手術を受けられた多くの人が心配されていることです。これは仕事の内容、通勤の方法によって大変異なります。仕事の内容として、例えばデスクワークが主で、イスに坐っているだけであれば、退院の翌日より少しずつ、仕事ができます。車を利用できる人も同じです。一般には、通勤の方法にもよりますが、退院後1ヵ月位で大部分の人は仕事に復帰しています。退院後3週間前後で、車の運転をこころみて、運転に自信ができれば、車で通勤できます。しかし車の乗り降りには一工夫要ります。シートにまず腰掛けて、脚を車中にゆっくりと入れる事です。駅の階段が多い場合、長距離歩かなければならない場合は、一度通勤を試してみることも一つの方法です。肉体労働が主である人は職場との相談が必要です。長期に人工関節を持たせるためには職場の上司に理解してもらっておくことが重要です。必要があれば医師が間に入ってご相談にのります。

8)夫婦生活は

夫婦生活はさほど問題なく可能ですが、体位には注意が必要です。関節の動く範囲内での行為にとどめるべきです。

以上、一般的な基準で述べましたが、手術の内容や手術の経過などによって、これらの基準に必ずしも当てはまらない場合もありますので、先ずは医師とよく相談して下さい。再手術を受けることがないように、十分注意することが最優先です。