国際唇裂口蓋裂センター

概要

沿革

熊本機能病院は、昭和56年(1981年)に米満弘之理事長兼総院長(当時)によって開設されましたが、開設当時より形成外科も設置され、唇裂口蓋裂(しんれつこうがいれつ)をはじめ形成外科一般に関する診療が始められました。
平成3年6月14日、病院設備の拡充、診療組織の充実を待って、形成外科、言語聴覚療法課、矯正歯科、耳鼻科、小児科、福祉の各専門家のチームが集まって熊本唇裂口蓋裂センターが開所しました。さらに国際的視野に立ったハイレベルの総合的診療の必要性が高まり、平成10年1月9日、熊本機能病院「唇裂口蓋裂センター」改め同病院「国際唇裂口蓋裂センター」としての本格的診療が始められました。

これまでに熊本機能病院で診療を受けられた唇裂口蓋裂の患者さんは、1000名以上に達し、日本全国はもとより、東南アジアからの患者さんもいらっしゃいます。また、形成外科、特に唇裂口蓋裂の勉強に世界各国からの留学生もみえており、世界に開かれた国際センターとしてお役にたっております。

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唇裂口蓋裂のチーム医療の重要性について

唇裂口蓋裂は、上口唇(うわくちびる)や口蓋(うわあご)が生まれつき裂けている先天異常で、妊娠3ヶ月までの間に遺伝や環境の影響が悪く関わり合うと生まれると言われています。この時期には顔だけでなく、体の他の部位例えば心臓、耳、手足、泌尿器などにも先天異常を起こしていることが多いという特徴があります。

したがって、上口唇、口蓋の裂け目は形成外科で手術しますが、内蔵の異常は小児科で専門的に診察し、必要があれば適切な治療をしてもらいます。また、口蓋裂があれば、発声に異常を起こしやすいため、言語聴覚士の関与が必要です。さらに、このようなお子さんは滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)を起こしやすく、耳鼻科のお世話にならなければなりません。少し大きくなると虫歯や歯並びの治療、顎の形の治療など矯正歯科の先生の治療を必要とすることがしばしばあります。また、先天異常ということで、精神的な問題では精神神経科や心療内科など、治療費の問題や社会的問題では医療福祉や社会福祉を担当するソーシャルワーカーの協力も必要です。

このように唇裂口蓋裂を含めて先天異常の方はいろいろな専門家の協力治療、チーム医療が必要なのです。熊本機能病院国際唇裂口蓋裂センターは、数少ない唇裂口蓋裂を含めたチーム医療を行う先天異常診療施設の一つで、アメリカ口蓋裂学会にも登録されており、世界的にも公認された施設になっています

家族教室のご紹介

唇裂口蓋裂のお子さんを持つご家族は、どう育てて良いものか、どんな異常なのか分からないことが多く、大変心配され、また不安になられます。私共は年4回家族教室を開いて、ミルクの飲み方から手術の事、耳の聞こえ、歯並び、咬合(噛み合わせ)、ことばの問題などを含めて、治療方法や治療順序、その結果などについて、各専門家より話をし、唇裂口蓋裂について理解していただき、みんなで治療するようにご協力いただいています。
この家族教室には患者さんに関係のある方々ばかりでなく、この唇裂口蓋裂に関心のある方は、どなたでもご参加いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。

※お問い合わせの際は「総合リハビリテーション部 言語聴覚課(内線2550番)へ」とお伝えください

形成外科 部長 小薗 喜久夫

親の会「あじさい」のご紹介

思いがけず、口に障害を持つ子どもを授かったお父さん、お母さん!
どんなに驚かれ、悩まれていることでしょう。けれど悩んでいるのは、あなた方だけではありません。
この障害を持つ赤ちゃんは約500人に1人の割合で毎日誕生しています。

沢山の方々が悩まれ、どうしたら良いかと考えて、親と子と医療従事者がチームを組んで、障がいを持って生まれた子ども達が健やかに育ち、力強く社会にはばたいて行くことを願って、唇裂口蓋裂<親の会「あじさい」>を作りました。あなたも<親の会「あじさい」>の仲間になって、お互いに支えあい、助け合っていきませんか。
まずはお気軽にお問い合わせください。

※お問い合わせの際は「総合リハビリテーション部 言語聴覚課(内線2550番)へ」とお伝えください

症例・治療法

  • 生後すぐより
    すべてにわたって相談、家族教室
  • 生後約3ヶ月
    唇裂の手術
  • 約1才
    口蓋裂の手術
  • 3才〜5才
    鼻、口唇の細部修正、虫歯の治療など
  • 8才頃
    はぐきに裂があれば、骨移植、歯科矯正
  • 30才頃まで
    定期的に診察、必要があれば修正手術

受診方法

まずは当院の形成外科・小児形成外科をご受診ください。